山登りの手引き | 沢登りの手引き | 図 | Top |
1. 尾根と沢 山には尾根と沢があるが、地形図を一見してわかるように全ての尾根は頂上に向かって合流し、沢はその逆になっている。 したがって尾根をひたすら登れば必ず頂上に達し、沢を下れば里に辿り着く。山道は古くから沢沿いに作られ、尾根の鞍部の峠を超えて反対側の里と結ばれていた。尾根道は登山が一般的に行われるようになってから開かれたものが多く、歴史は浅い。そのほかに植林のために作られた林道や仕事みち、そして獣みちというものもある。 一般的な登山において道に迷った時は上に登れ、と言われている。これは尾根には登山道が通っていることが多いことと、上に登るほうが目線と足場の確認の点で下るより遥かに安全であることによる。沢には滝が多く、まわりも断崖であればどうしようもない。初心者の遭難騒ぎはほとんどが沢に迷い込むことで起きる。しかし、救急非難的には下るほうが良い場合もある。水は常に確保できるし、ケガや疲労で動けなくなった時には沢で救助を待つほうが良い。日本の山では150mも下れば必ず水が流れているからだ。 このように、山を長期のフィールドとした場合や、道無き道を行かなければならないときには沢の様子を知ることが非常に重要である。沢を知ることで山の構造全体がわかるといっても過言ではない。 2. 沢登りの実際 一般的な沢登りは本谷へ合流するところから入り、滝を登ったり、淵を泳いだりして沢の水が伏流となるあたりで尾根の登山道へ抜けるスポーツとして行われている。 最後は山頂までヤブをかき分けていくこともあるが、ほとんどの沢が遡行図として時間や難所の位置が表記され、難易度までランク分けされているほどだ。登山者以上に釣り人も多く、主な滝には巻き道もつけられていて、日本には秘境など無いことがよくわかる。そうはいっても自然は刻一刻とその姿を変えるので油断もすきもないし、危険なことに変わりはない。 特別な装備としてはヘルメット、靴、防水対策、着替え、ザイル、懸垂具が必要であるが、巻き道を使って普通の登山として楽しめるところも多い。易しい沢から慣れていき、ガレ場、草つき、やぶ、いばら、など斜面や道無き尾根を登ることができるようになれば、山を自由自在に行動することも夢ではないだろう。 3. 岩登りと確保 岩壁や滝、急な斜面を登るときにはザイルを使用する。ザイルは30〜40mで9〜11mm径のものが使い易い。登りは2人がペアになり、1人が登っている間はもう1人が確保をする。確保する者は先ず自分自身をザイルで木やハーケンなどと結び付け、相手の落下に耐えられるようにしなければならない。そのうえで相手を結んだザイルを弛まないように手繰ることで、落下ではなく宙吊りにとどめるようにする。先行者が滑った場合は支持点までの長さは落下するので、先行は熟練者が当たるようにする。 下降はザイルの中間点を支持点で折り返して下方に投げ、2本になったザイルを懸垂具に通してスピードを殺しながら1人づつ降りる。懸垂具を使わない肩絡みも慣れておいたほうが良い。 登る時の基本は先ずバランスよく真直ぐに立つことである。岩にへばりつくと足が滑り易くなるばかりか、視界が狭くなって手足の置き場が見えなくなる。そして手足の移動は1つずつ行い、残りの3つは支持したままとする。これがいわゆる3点支持と呼ばれるもので、この動作をリズミカルに行うと安全で疲れにくい。ホールドに迷って同じ姿勢を続けていると痙攣したり硬直したりするので、少し戻ってやり直す方が良い。 4. 沢の景観 沢は森林が豊かで深く、樹木の鑑賞には良い。特に新緑や紅葉の季節は非常に美しい。大滝と滝壷に舞う水煙、廊下のようなゴルジュ、滑り台のようなナメ滝、大岩を縫って飛沫を上げながら流れる様も醍醐味がある。しかし、日が差込まず暗いところも多いし、陰気で憂鬱なこともある。天候によって表情が全く変わるし、大雨のときの鉄砲水や崖崩れも注意しなければならない。それもこれも自然の表情なので、良く味わいながら判断することが大切である。 □ 次へ □ Topへ戻る |
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